30代の転職事情や転職理由、男女による違い。35歳限界説はすでに崩壊しており成功可能性は十分ある

20代と30代で転職しやすいのはどちらかと言えば、やはり20代であるというのが一般的な考え方です。

しかし、最近はどの企業も人材不足が顕著となっていることに加え、30代には30代の魅力があることから、好条件での転職は十分可能となっています。

30代になったからもう今の会社で骨を埋めるしかないというのは誤った考え方であり、転職のチャンスは十分にあります。

30代が仕事を辞める理由

30代になって仕事を辞めたいと考える理由は人によって様々ですが、以下の理由から転職する人が多いです。

  • 給料に対する不満
  • 休日数や残業時間に対する不満
  • 会社の将来性に対する不安
  • 勤務地に対する不安
  • キャリアアップ
  • 人間関係に対する不満
  • 結婚や出産

給料に対する不満

30代にもなると、勤めている会社や就いている役職によって給料は大きく異なり、かたや年収1000万円以上となっている人もいれば、年収300万円未満となっている人もいてます。

30代になると育児などでも出費が多くなってきて、20代の頃と同じ給料では生活が厳しいと感じている人も少なくはないですよね。

ちなみに30代の年収は30代前半が392万円(男性451万円、女性299万円)30代後半が432万円(男性510万円、女性299万円)となっています。

休日数や残業時間に対する不満

休みが少ない、残業時間が多いという労働時間に対する不満から転職を選ぶ人も少なくありません。

20代の時にはがむしゃらに頑張ってこれても年齢を重ねると労働時間の長さが大きなストレスに変わっていったという場合も少なくはありません。

世間には年間休日120日以上、正社員であっても月間残業10時間以内なんていうホワイト企業がある一方、8時間労働時の法律で定められた最低日数である105日しかなく、有給休暇もとれず、残業や休日出勤で毎月80時間以上もあるという人もおり、かなり格差があります。

会社の将来性に対する不安

今の会社の将来を考えた時、いつまで続くか不安と考え転職する人は30代に非常に多いように感じます。

40代、50代になってから会社が倒産して仕事がなくなってしまうことに危機感を覚え、まだ転職がしやすい30代のうちに今の会社よりも安定している会社に変えておくと考える為です。

勤務地に対する不満

地元から離れて就職した人の中には、両親の介護や子育てのしやすさ。過ごしやすさといった理由から地元にUターン転職する人も増えています。

20代の頃にはまだ特に考えていなかったことを30代になったからこそしっかり考えるようになり、悩むことというのはそれなりに多いと思います。

キャリアアップ

今の仕事に対して特に不満はないものの、さらなるキャリアアップを目的に転職する人も30代の人の中にはいます。

年収アップやスキルアップ、仕事の幅を広げるなど様々な目的をもって転職することを前向きに考える人も多く、中には数回転職を繰り返して、スキルを身につけながら年収アップし続ける人なんかもいます。

人間関係に対する不満

人間関係に対する不満は30代に限ったことではなく、どの年代にも多い転職理由です。

人間関係によるストレスというのは非常に大きいものであり、いくら給料がよくても、仕事内容自体が面白くても、それらを捨てても良いと思えるぐらい辛いものになりえます。

結婚、出産

女性の場合は特に結婚や出産によって会社を辞めるという人は多いと思います。

会社自体が子育てとの両立に前向きで、女性でも働きやすい環境が整っている会社であればいいのですが、必ずしもそういう会社ばかりではありません。

また、結婚して一緒に住むことを考えたら仕事を辞めざるをえない、元々専業主婦もしくはパート等でフルタイムで働かない働き方に変えるつもりであったという人も多いと思います。

30代の転職事情

30代の転職事情

では、ここからは30代の転職需要について紹介していきます。

20代に比べて転職が難しいと言われている30代ですが、近年は転職しやすい環境が整ってきています。

35歳限界説

転職市場において、まともに転職しようと思ったら35歳以下でなくてはいけない、36歳以降になってしまうと転職が急激に困難となると考えられていたことから、「転職35歳説」という言葉も考えられていました。

雇用時において、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から年齢制限を課す場合も35歳という年齢が使われることも多かったのは事実です。

ただ、近年ではその傾向が少なくなっており、30代後半であっても転職がしやすい環境が整ってきています。

実際、転職成功者の平均年齢は年々上昇。

転職サイトdodaの「転職成功者の年齢調査」によると、平均は32.5歳(男性33.0歳、女性29.9歳)となっており、10年前と比べると3.4歳も上昇しています。

転職市場においては20代の割合が多いにも関わらず、これだけ平均年齢が高いことを考えると、35歳を過ぎて転職を成功させている人はかなり多いということがわかります。

経験豊富なミドル層の転職需要は決して低くはなく、転職のチャンスは十分にあるのです。

経験者採用と未経験者採用

転職時には、これまでのキャリアを生かして転職する経験者採用と、これまでのキャリアとは無関係で違う職種に転換する未経験者採用があります。

経験者採用では、30代でこれまで豊富な経験をしてきて高いスキルを持った人材に対して非常に高い需要があり、年収アップ等も十分に可能となっています。

また、30代後半になると管理職などでマネジメントとしての経験を重視されることが増えてくるというのが20代での経験者採用と異なってきます。

未経験者採用に関しては、30代になると難易度がかなり増してしまいます。

未経験者を採用する場合に企業は今後の成長を期待して採用することになる為、年齢が選考において非常に重要な要素になってきます。

それ故、20代であれば広くチャンスがあった半面、30代になるとチャンスはかなり少なくなってしまい、年収ダウンや企業規模ダウンといった覚悟はどうしても必要になってきます。

転職平均期間

30代の転職活動平均期間はおよそ3ヶ月程度と考えておきましょう。

エン・ジャパンの「転職活動期間に関する調査」によれば、30代が転職活動にかかった期間は以下の通りになっています。

  • 1ヶ月半以内・・・19.2%
  • 3ヶ月以内・・・62.5%
  • 6ヶ月以内・・・18.3%

8割以上の人は3ヶ月以内で転職活動を終わらせています。

ちなみに20代だと、

  • 1ヶ月半以内・・・42.9%
  • 3ヶ月以内・・・47.6%
  • 6ヶ月以内・・・7.6%
  • 7ヶ月以上・・・1.9%

40代だと、

  • 1ヶ月半以内・・・9.2%
  • 3ヶ月以内・・・49.6%
  • 6ヶ月以内・・・35.3%
  • 7ヶ月以上・・・5.9%

となっており、年齢が高くなるにつれて転職活動にかかる期間が長期化する傾向にあることがわかります。

転職時応募社数

転職の応募社数は、30代前半で15.6社、30代後半で20.26社となっています。

各年齢別にみると以下の通り。

  • 20代前半・・・13.6社
  • 20代後半・・・15.0社
  • 30代前半・・・15.6社
  • 30代後半・・・20.3社
  • 40歳以上・・・23.7社

年齢が高くなってくるにつれて増加傾向にありますが、特に30代前半と30代後半で応募社数は大きく増えており、転職のしやすさという観点では変わってくることがわかります。

転職回数の平均と転職への影響

30代の転職回数の分布は以下の通り(参考:en ミドルの転職「退職について」)。

  • 1回・・・24%
  • 2回・・・21%
  • 3回・・・19%
  • 4回・・・8%
  • 5回以上・・・8%
  • ない・・・20%

平均としては2~3回程度となるでしょう。

転職市場において転職回数は多いことはあまり良いことではありません。

転職回数が多ければ多いほど転職では不利になっていき、転職しにくくなる、妥協しなくてはならなくなるという傾向があります。

ただ、30代であれば2回程度の転職経験があり、3回目の転職となる場合はそこまで悪影響を及ぼさないことが多いそうです。

公務員という選択

20代であれば、民間企業への転職ではなく公務員試験を受けて公務員になるという道もありますが、30代になるとかなり限られます。

公務員試験の年齢制限では30歳未満としている場合が多くなっている為です。

ただ一部自治体では35歳まで40歳までといった自治体も多少あるので、自治体を選べば受けることができないというわけではありません。

また、公務員試験を受けるのではなく経験者採用枠で受験するという方法もあります。

応募する自治体によって変わりますが、経験年数がある一定期間以上になると応募資格を得られる為、どうしても公務員になりたいと考えている場合にはチャレンジしてみてもいいかもしれません。

30代転職を成功に導く為の方法

30代転職を成功に導く為の方法

転職する以上は成功させなければ意味がありませんが、転職した人全てが成功できたかというとそういうわけではなく、転職したことに後悔する人も少なからずいるのは事実です。

成功できるか、それとも失敗するかというのは転職活動をどう進めるかが重要になってくるので、よく考えながら行わなくてはなりません。

自分自身の希望、環境を明確にし方向性を決める

30代になってくると、単に自分の希望だけで転職先を決めるというのはなかなかできません。

家庭などの自身を取り巻く環境や将来のことなども考慮にいれながら転職先を決めなくては転職したことに後悔してしまう可能性は高くなってしまいます。

自分がどういった仕事をしたいのかということに限らず、生活するにどれだけの年収が必要か、休日や残業時間をどう考えるか、勤務地に関して考えるかなど、家族ともしっかり相談した上で方向性を決めていきましょう。

転職に対する覚悟を持つ

転職は良いことばかりではありません。

特に未経験の職種に転職しようとなれば年収ダウンなど条件面で下がることは覚悟する必要がでてきます。

良くなる部分もあれば悪くなる部分もあるということに関して転職前にしっかり覚悟しておきましょう。

もちろん転職するにあたり、企業についてよく調べどういった点が良くなるのか、どういった点が悪くなるのかということはしっかり把握するようにしてください。

リスクを下げた転職活動を行う

仕事を辞めたい、転職したいという気持ちばかりが早ってしまい、転職のリスクを上げるようなことは避けなくてはなりません。

基本的に転職活動を行う際には会社を辞めずに行うことがベストです。

先に退職してしまうことには、収入がなくなり転職活動に焦りが生まれる、無職期間があることによって採用時に不利な要素ができる、転職活動自体をだらけてしまうといったマイナス部分が多く、転職先を選ぶ場合にも妥協が多くなってしまいがちです。

もう若くないということを自覚する

30代前半だと、会社内では一応中堅と言っても、まだまだ後輩より先輩や上司のほうが多く、若手扱いされている人は多いと思います。

しかし、転職市場において30代という年齢は決して若い年齢ではありません。

若さ故に許されることなんてなく、入社してから頑張りますなんてことが許される年齢でもありません。

一人前の社会人という自覚を持ち、今の自分の実力からどう会社に貢献していくかを考えるようにして下さい。

これは未経験職種に転職する場合も同様です。

違う職種だからできなくて当然、これから頑張るという考えではなく、これまでの経験から職種が変わったとしても生かせることを探し、アピールしていかなくてはなりません。

転職エージェントを利用する

転職する際には転職エージェントを必ず利用するようにしましょう。

転職活動を進めるにあたり重要な転職ノウハウは自力でなんとかしようと思っても限界がありますし、下手したら間違った方向に進んでしまう可能性もあります。

そこは無理に自分でなんとかしようとするのではなく、プロの力を頼ることが必要です。

転職エージェントを利用するメリットはノウハウ面だけではありません。

非公開求人の紹介、面接日や入社日の交渉といった手間の軽減、求人票だけではわからない情報の収集、年収交渉による年収アップといったメリットがあり、転職を有利に進めることが可能となります。

30代の転職を成功させることは十分に可能

現在は特に売り手市場となっており、非常に転職しやすい状況となっています。

たとえ30代であっても転職できる環境は十分に整っており、後はやるべきことをやるだけです。

まだまだ定年までは時間があります。より良い環境で働くことができるように、ぜひ行動を起こしてみてください。