仕事に対するやりがい、仕事とプライベートの両立などを理由に転職したいと考えている女性もいると思います。
男性に比べて家庭のことなど考えることが多くなってしまう分、仕事に対して悩みや不安は大きくなってしまいがちですし、転職すること自体も難しいと考えてしまっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は女性の転職について紹介していきたいと思います。
女性と仕事
まずは現在の日本における女性の仕事事情について紹介をしていきましょう。
女性の平均年収
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、女性の平均年収は276万円。男性が521万円であるのに対してkなり低い数値となっています。
この理由は単に男性のほうが出世等がしやすいというわけではなく、女性の労働者のうち派遣社員、契約社員、パートと言った非正規社員の割合が高くなっていることが主な原因です。
パートの場合だとフルタイムで働かない場合も多く、当然1ヶ月あたりの給料は低くなってしまいますがそういった人も入れた上で数値を算出しているのでここまで大きくなってしまっています。
正社員に限定した場合だと、女性の平均年収は367万円になります(男性正社員は538万円)。
女性の平均年収を年齢別に見ると、以下の通りになります。
- 20~24歳:233万円
- 25~29歳:306万円
- 30~34歳:307万円
- 35~39歳:299万円
- 40~44歳:294万円
- 45~49歳:292万円
- 50~54歳:296万円
- 55~59歳:278万円
正社員と非正規社員の割合
総務省統計局の「労働力調査」によると、非正規社員の割合は男女合わせて37.5%。しかし女性に限定した場合にその割合はかなり高くなります。
女性に限定した場合の非正規社員の割合は55.9%、全労働者2445万人のうち1367万人が非正規社員としてして働いています。
女性の場合、結婚や出産を機にフルタイムではなく働くことができるパートなどを選ぶ人が多いんですが、正社員の仕事が見つからずにやむを得ず非正規社員として働いている人も1割程度います。
専業主婦の割合
ひと昔前まで男性が外で働き、女性は専業主婦として働くというのが一般的な考え方でしたが、現在は共働きで働く世帯の割合が非常に高くなっています。
内閣府男女共同参画局の「男女共同参画社会の形成の状況」によると、およそ6割の世帯が共働き、4割の世帯が専業主婦となっています。
推移を見てみると昭和55年の時点ではおよそ65%の世帯が専業主婦でしたが、年々共働きの割合が増えていき今では共働きで働くほうが一般的となっていることがわかります。
女性の転職理由
結婚や出産をしても働き続ける女性が多くなってきている中で、仕事が人生に占める割合は大きくなっています。
その為、結婚や出産といったものだけではなく仕事に対するやりがいといった観点でも転職を選択する人は多いです。
厚生労働省の「雇用動向調査結果」によれば、転職した女性が前職を退職した理由は年代別に以下の通りになっています。
20代前半女性
- 休日等の労働条件が悪かった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 給料が少なかった
- 仕事の内容に興味を持てなかった
- 能力を生かせなかった
20代後半女性
- 休日等の労働条件が悪かった
- 結婚
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 能力等を生かせなかった
- 給料が少なかった
30代前半女性
- 休日等の労働条件が悪かった
- 仕事の内容の興味を持てなかった
- 給料が少なかった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 能力等を生かせなかった
30代後半女性
- 休日等の労働条件が悪かった
- 給料が少なかった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 出産、育児
- 会社の将来が不安だった
40代前半女性
- 休日等の労働条件が悪かった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 給料が少なかった
- 能力を生かせなかった
- 仕事の内容に興味を持てなかった
40代後半女性
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 休日等の労働条件が悪かった
- 給料が少なかった
- 能力を生かせなかった
- 仕事の内容に興味を持てなかった
女性に転職は難しい?女性転職の実情
女性の転職は、男性が転職する場合に比べて色々と制限等もあり難しいと考えられている場合が多いです。実際のところはどうなのでしょうか。
男性との違い
女性の転職が男性と比較して難しいと思われてしまう理由は、男性と女性によって仕事を続けるにあたり色々な部分で違ってくる可能性がある為です。
実際は気にしない企業もありますし、大企業に至っては女性の比率を高めようと考えている場合も多いのですが、中小企業なんかだとかなり気にして結局同じレベルであれば男性を優先して採用するようにしている企業がまだまだ多いのが現状としてあります。
女性には出産、育児がある
女性にとって結婚や出産による仕事への影響は男性に比べて大きくなる場合が圧倒的に多いです。
結婚によって引っ越しが余儀なくなり退職しなくてはならなくなったり、出産に伴って産休や育休をとったり、育休明けには時短勤務をすることになったりします。
産休や育休は法律で定められたものですから本来は気にせずとっていいんですが、企業側からすると一人人員がいなくなったり思ったような働き方をさせられないことが大きな負担となってしまう可能性がどうしてもあります。
特に中小企業はもともとの人員が少ない為、一人がいなくなる影響がどうしても大きくなってしまいます。
転勤が難しい
総合職の場合だと、転勤を命じられれば基本的にはその会社の指示に従わなくてはなりません。
しかし女性の場合はその転勤を拒否する可能性が男性に比べて高くなってしまいます。
結婚している場合だと特に、転勤すると家族がばらばらになってしまうので転勤を拒否しもしそれが無理なら退職を考える人も少なくありません。
退職する人の割合が高い
結婚を機に退職、転勤を命じられ受け入れられないから退職、出産を機に退職など男性に比べて女性が退職する可能性は非常に高くなります。
企業としては採用コストや教育コストの負担はかなり大きいので同じ人にできるだけ長く働いてほしいと考えます。その場合、女性を採用するということがリスクとなってしまうと考える企業がどうしてもあるのです。
こういったことが男性に比べて女性の転職が難しい理由として挙げられます。
ただ現在はこういった女性に対する転職での冷遇はかなり減ってきており、以前に比べればずっと転職はしやすい状態となっています。
転職成功者の平均年齢
男性に比べて女性の転職時の平均年齢は非常に低くなっています。
転職サイトdodaの調査によると、男性が33.0歳に比べて女性は29.9歳とかなり低くなっています。
ただ10年前は27.6歳であったことから考えると、多少年齢が高くなっても転職はしやすくなっていると言えます。
平均がおよそ30歳ですから30歳以上であっても転職が成功する可能性は十分に高いと言えるでしょう。
転職を繰り返す女性が多く転職回数が多い
全年齢を平均した場合の平均転職回数はおよそ2回。20代で1回、30代で2回程度になっています。
しかし、女性の場合だとこの回数が男性よりも多い傾向にあります。
女性の場合は男性に比べて退職する割合が多い分、当然と言えば当然ですね。
一般的に転職回数は3回以上になってくると転職活動は不利になるとされていますが、男性に比べると女性の場合は割と許容される場合が多いです。ただし転職理由が正当なものである必要があります。
転職の満足度は高い
人材会社 iDAが調査した「転職に関する調査」によると、転職の満足度は意外に高いことがわかります。
転職して良かったという人は41.7%、どちらかというと良かったという人は38.3%となっており、合わせるとおよそ8割の人が転職したことを成功と位置付けています。
その理由としては、プライベートの充実、給料アップ、仕事が好きになったといった理由が多くなっています。
女性の転職タイミング
女性が転職する場合に気になるのが転職するタイミング。いつがベストなのかと悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
年齢は何歳まで?何年目がいい?
年齢に関して言えば、やはり20代のうちにしておいたほうが転職はしやすいと言えます。男女問わず年齢が高くなると転職は徐々にしにくくなってしまいます。
ただ30代前半くらいまでは大きな心配もせずに転職はできると思います。30代後半になると厳しくなってはきます。
何年目かというのはあまり心配する必要はありません。とりあえず3年は働けという考え方も少し前まではあったんですが、今は第二新卒としての転職需要が非常に高くなってきているので3年以内に転職する場合も心配はいりません。
むしろ違う職種に転職する場合は第二新卒としてさっさと転職してしまったほうがやりやすいです。
結婚や出産との兼ね合い
女性の場合に気になるのが結婚や出産との兼ね合いです。
もし選択ができるならば結婚や出産がある1年以上前に転職は済ませてしまったほうが良いです。
結婚直後に転職活動を行っても、すぐ妊娠して産休に入ったり退職することになるのではないかと不安がられる可能性があります。
女性が転職を成功させた事例
ではここからは、女性の転職体験談を紹介していきます。まずは成功事例から。
20代女性の場合
なんとか内定を貰って就職できた会社でしたが、女性の働きやすさという観点でとても不安がある会社でした。
産休や育休はあきらかに取りにくい雰囲気で、実際に取得していた人はいたものの復帰してからの待遇は明らかに厳しそうだったし、休職している人に対して悪口を言っている人すらいました。
すぐに結婚、出産をする予定はなかったものの、結婚後も仕事をしていきたいと思っていた私は3年目の時に第二新卒枠で転職することにしました。
転職活動時に一番意識したのは女性が働きやすい会社かどうかという点。女性の比率や育休等の実績、直接会社で働いている人に話を聞いたりもしてとにかく徹底的に調べました。
結果的に転職活動はそこまで苦労することなくすんなり決まったとともに、女性に働きやすい会社に勤めることができました。
30代女性の場合
最初に正社員として働いていた会社を5年働いたのち、私が選んだのは派遣社員でした。
転職活動が面倒だった、責任のある仕事からは離れたかったという理由から安易に派遣社員で働くことを選択してしまいましたが、いつかは結婚したいとも考えていたので大きな心配もしていませんでした。
しかし、30代後半になっても結婚することなく派遣社員として働き続けていくことになってしまいました。
さすがにこのまま派遣社員として働き続けることに不安を感じるようになったの、正社員になりたいと考え転職をするに至りました。
転職活動は大変でした。書類選考は全然通らないし何度か心が折れそうになったこともあります。
けれど拾ってくれる会社もあるものです。小さい会社ではありますが、正社員として採用してくれる会社があったのです。
給料も高いとは言えませんが、派遣社員として働いていた頃より安心感は大きく転職して良かったと心から思っています。
そんな私ですが転職した会社の取引先の男性とその後結婚するに至りました。実はその点が転職して一番良かった点ですね。
女性が転職に失敗してしまった事例
では次に女性の転職体験談として失敗事例を紹介していきます。
20代女性の場合
私の転職は一言でまとめると早とちり。ちょっとした不満から転職を決めてしまったことに後悔してしまいます。
入社して1年。仕事がつまらない、自分のやりたいことができないと感じていた私は、仕事のやりがいを求めて転職しましたが、転職後に気付いたのは単なる甘えだったということ。
元々希望して入った会社なのに、あの頃の私は現実をよく見ずに仕事を辞め、取り返しのつかないことをしてしまったことに後で気づきました。
もしこれから転職を考えている人がいたら、まずは今の仕事を前向きに取り組むこと、転職は慎重になることをおすすめします。
30代女性の場合
キャリアアップを目指して転職したものの、結果的にキャリアダウンにつながってしまいました。
元々仕事で頑張っていきたいという思いが強く、より年収が高く仕事としてもレベルの高い仕事をしていきたいと考えていた私は、32歳の時に転職活動を行いました。
転職して数年は特に問題もありませんでしたが、3年後の出産を機に私のキャリアは崩れます。
産休や育休自体の制度はしっかりしていたものの、そこから復帰した後の評価は著しく低いものにされてしまったのです。
よくよく考えてみれば、女性で出世した人は皆独身の人たちばかり。そもそも出産をした時点でもうどうしようもなかったのです。
これを考えれば前の会社のほうが全然良かったなと感じます。
まとめ
女性の転職は確かに難しい部分もありますが、決してできないものではありません。
正社員として働いていたほうが、産休や育休といった福利厚生面も充実していますし安定度も高いです。安易に派遣社員や契約社員として働くことをにするのではなく、まずは正社員を目指して転職活動を始めてみてください。