派遣社員の実態と派遣社員から正社員に転職する為にやるべきこと

現在派遣社員として働いている人の中で、本当は正社員として働きたい、いつかは正社員になりたいと考えている人も多いかと思います。

派遣社員として働くことにもメリットはあるもののデメリットも多く、長期的なことを考えればやはり正社員でというのは普通に考えることです。

ただ派遣社員から正社員になることは簡単にできることではないというのもよく言われていること。そういったことから諦めてしまっている人もいるかもしれません。

そこで今回は派遣社員の実態や、派遣社員から正社員に転職する為にやるべきことについて紹介していきます。

派遣社員の実態

派遣社員という働き方に対し、あまり良くないイメージを持っている人は少なくないでしょう。

ただ派遣社員としての働き方そのものが悪いわけではありません。人によっては正社員として働くよりも派遣社員として働いたほうが良いという場合もありますからその働き方自体を否定するというのは間違っていると思います。

ただ正社員として働きたいと考えている人にとっては条件面でかなり苦しいというのがあるのは事実。まずはその実態を紹介していきます。

派遣社員と正社員の給料比較

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、正社員の賃金は32万1700円であるのに対し、非正規社員は21万1800円となっており、その差は10万円以上になっています。

なおここで言う賃金というのは、給料の中から超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交代手当)といったものを差し引いた金額になっています。

男女別で見た場合は以下の通りです。

  • 男性正社員:34万9000円
  • 男性非正規社員:23万5400円
  • 女性正社員:26万2000円
  • 女性非正規社員:18万8600円

正社員と非正規社員の給料の格差は、年齢が高くなるにつれて顕著になってくるという特徴があります。

年代別賃金は以下の通りとなっています。

  • 20~24歳:正社員20万8000円、非正規社員18万2200円
  • 25~29歳:正社員24万3100円、非正規社員20万300円
  • 30~34歳:正社員28万1100円、非正規社員21万円
  • 35~39歳:正社員31万3300円、非正規社員21万3500円
  • 40~44歳:正社員34万4600円、非正規社員21万500円
  • 45~49歳:正社員37万8900円、非正規社員20万7800円
  • 50~44歳:正社員40万900円、非正規社員20万9600円
  • 55~49歳:正社員39万3300円、非正規社員21万1100円

男性で限った場合、50代前半で正社員は44万500円、非正規社員は24万7000円と約20万円も差がつくことになります。

昇給があり年齢を増すごとに給料が増えていく正社員と、昇給はほぼなくいつまでも同じ給料で働くことになる派遣社員では20代前半でたった2万円しか変わらなかった給料もこれだけ差がつくのです。

しかも正社員の場合はこれにボーナスが加わりますし、定年時には退職金も貰うことができる場合が多いです。

よって生涯賃金としては相当な差がつくということが容易にわかります。

派遣社員として同じ職場で働くことができる年数

派遣社員の一つの問題点として挙げられるのが不安定性。ある一定期間しか働くことができず、職を失ってしまう可能性がいつまでもつきまとうことになってしまいます。

労働者派遣法では、同じ職場で働くことができる年数は3年以内と限られています。すなわち3年置きに職場が変わり新たな環境で働くことを強いられるとともに、3年後の仕事が保証されているわけではありません。

また3年というのはあくまで上限であり、3年働くこと自体も保証はされていません。派遣で働く場合は3ヶ月といった短い契約期間を繰り返していくことになります。3年満たなくても企業がもう更新しないといったらそれまでです。

3年という上限を法律において設けているのは、企業がいつまでも派遣社員として同じ人を雇うことを避ける為。短期間の契約期間の繰り返しでいつでも解約可能な派遣社員という働き方を当たり前にするのではなく、一定期間働いたら正社員に転換する方向に持っていくことが目的になっています

ただ現実としては3年という上限を設けていてもまた違う派遣社員を採用するだけというのが多くの企業がとっている形です。

不本意派遣社員の割合

有効求人倍率は平成29年3月時点で1.45倍。しかし正社員に限ると0.94 倍まで落ち込みます。

すなわち仕事はあるけれど派遣社員や契約社員としての仕事が多く、正社員の仕事は多いとは言えず、本当は正社員として働きたいのに働くことができない人がたくさんいるということです。

厚生労働省の「非正規雇用」の現状と課題によるとおよそ15.6%の人が正社員として働きたいにもかかわらず非正規で働いているそうです。

その理由で最も多いのは正社員の仕事がないから。正社員になりたくてもなれない人は数多くいるのです。

派遣社員から正社員になるルート

では現在派遣社員から正社員になるにはどうしたらいいのでしょうか。

ルートとしては3つあります。

派遣先の企業に直接雇用されるか、紹介予定派遣を利用するか、転職活動を行い正社員を目指すか。

この中でより早く確実に正社員になれる方法は転職活動を行う方法。他は運の要素も多くなってしまい、無駄に時間ばかりがかかって正社員になれないまま年齢ばかり高くなってしまう可能性があるので危険です。

参考:3年ルール、5年ルールの概要や派遣社員や契約社員から正社員になる為の方法。正社員登用や直接雇用は難しい?

派遣社員から正社員に転職する為にやるべきこと

派遣社員から正社員に転職する為にやるべきこと

ではこれまで正社員になれなかった人が、どうすれば転職によって正社員になることができるのでしょうか。

とにかく執念深く

正社員に転職する為に一番大事なのは執念深さ。

転職活動でのコツ、自己アピールの仕方、志望動機の書き方といったことばかりを気にしてしまう人が多いのですが、そんなことに悩むのは無駄です。

そういったことはプロの力を頼ればわかること。自分一人で苦しむ必要はありません。

あとはとにかく正社員の仕事を内定がでるまで受け続けることだけです。転職市場において内定を得られる可能性というのはそれほど高くはありません。だからこそたくさんの数を受けなくてはどうしようもありません。

派遣社員として働かざるをえなくなった時のことを考えてみましょう。

新卒時は就職活動にかけることができる期間が限られており、その期間内で仕事が見つからなかったから派遣として働かなくてはならなかったという人が多いでしょう。

中途採用時であっても、金銭的な理由からできるだけ早く仕事を見つけなくてはならない中で正社員の仕事が見つからなかったという人が多いでしょう。

結局時間の限りがある中で就職、転職活動をしているからこそ、そういった自体になってしまうのです。

ただ一度は派遣社員として働くことになったとしてもすぐに正社員になる為の転職活動をすればいいんですが、中々そうする人って少ないんですよね。

とりあえず働けてとりあえずお金が貰える環境に甘えてしまうんです。

だからこそ今回はとにかく執念深く、転職できるまで転職活動を終わらせないようにしましょう。

売り手市場のチャンスを逃さない

正社員への転職のしやすさは社会の情勢によっても大きく関係してきます。

転職希望者の数に対して求人数が少ない買い手市場では難易度があがい、逆に求人数が多い売り手市場になれば難易度は下がります。

買い手市場の時期に転職活動をしても正社員になることは簡単ではありません。ただ現在はかなりの売り手市場。正社員になれる環境は整っています。

この環境を逃さない為にも、とりあえず今の派遣の仕事が終わってからなんていう甘い考えは捨てる必要があります。

仕事に対する意識を変える

派遣社員としての仕事のやり方と、正社員としての仕事のやり方は違います。

派遣社員の人にとってみれば、周りの正社員がだらだらして全然仕事をしていなかったり、自分と同じようなことをしていなかったりという人もいるかもしれません。

ただそういった人と同じように考えてはだめ。中途採用時にそういった人は望まれません。

会社として正社員として雇うならどういった人材を望んでいるのか、現時点のことと将来的なことを考え自分をその姿に近づけるようにしましょう。

派遣社員から正社員への転職が難しいとされている理由の一つに、単に目の前の指示されたことだけをやっておけばよいという考え方を持っている人が多いという理由があります。

そもそも正社員として働く意識が足りていないと捉えられてしまうんですね。

長く派遣として働いているとどうしてもそういう考えになってしまいますから、自分なりにそれを正していく必要があります。

転職エージェントを利用して転職活動を進める

先ほども書いたように、転職活動はプロの力を借りて行うようにしてください。

それは書類選考、面接対策をスムーズに行うという為だけではありません。

前職が派遣社員ということで内定を出さない企業も残念ながら多々ありますし、逆に全く気にせず本人を見てくれる企業もあります。

ただそれを求人票から見抜くことは不可能。とりあえず受けてみるしかありません。

ただそれでは無駄に受ける企業も増えてしまうし、本当はチャンスがある企業を見逃してしまう可能性もあります。

転職エージェントはそれまで正社員として働いていた人しか利用はできないなんて勘違いしている人も多いですが、それは大きな間違い。

今は多数の転職エージェントがあります。必ずあなたの助けになってくれるエージェントは見つかるはずです。