とりあえず3年と言われてきた時代はもう終わり、今は3年以内でも転職することが容易になっています。
ただ、だからといってすぐにそう簡単に転職を決断しようと思える人はそこまで多いわけではなく、仕事に不満があって仕事を辞めたいとは思っていても、転職すべきなのか辞めるべきなのかの決断をすることができていないという人は多いことでしょう。
今回は入社3年目での転職に関して、取ることができる選択肢や転職事情、転職活動のやり方について紹介していきます。
新卒入社3年目に仕事を辞める人は多い
実際に新卒で入社した会社を3年目で辞めてしまうという人は非常に多数います。
離職率
厚生労働省の新規学卒者の離職状況に関する資料一覧によると、各学歴別の離職率は以下の通りとなっています。
1年以内 | 2年以内 | 3年以内 | |
中学卒 | 41.5% | 59.2% | 63.7% |
高校卒 | 18.1% | 31.4% | 40.9% |
短大卒 | 17.9% | 30.2% | 41.7% |
大学卒 | 11.8% | 22.8% | 31.9% |
大卒者であっても3割以上の人は最初に就職した会社を辞めてしまい、入社3年目という1年間に限った場合でもおよそ1割の人が会社を辞めます。
これは近年の第二新卒需要の増加に伴うことが理由というわけではなく、かなり前から離職率は非常に高くなっており、もはや新卒社員が3年以内に辞めるということは一般的なことなっています。
転職理由
入社3年目の人で仕事を辞めて転職する人の理由で多いのが以下のことです。
- 成長することができていない、成長が望めない
- 給料が低い
- 仕事内容に不満がある
- 人間関係が上手くいかない
- 仕事ができない
- 休日が少ない、残業が多い
- 評価への不満
成長することができていない、望めない
成長することができていない、そして今の仕事を続けていても成長が望めないというのは、これから仕事を頑張っていこうと考えている若手社員にとって、大きな不満、不安につながるものです。
3年目にもなると他の会社に行った友人と差も明確に開いていると実感してしまうことも多くなり、より成長に対する不安は強くなる為、転職という行動を起こす人は少なくありません。
給料が低い
3年目になると入る会社によって給料は大きく差がついてきてしまいます。
2年目までは給料が横並びでも、3年目で昇格がある会社というのは意外に多く、給料が数万円あがるという会社は少なくありませんが、その一方で全く給料が上がらないという会社もあります。
また会社の給与体系を意識して不満を抱えるという人も少なくはありません。昇格すれば、出世すればと思っていたのに実際に先輩や上司の給料を知ってしまって絶望するなんてパターンもあるでしょう。
仕事内容に不満がある
新入社員から仕事内容に不満があったもののとりあえず頑張ってみたという人もいれば、ある程度仕事を経験した故に違うことがやりたくなってきたという人も少なくはないでしょう。
学生時代にはイメージでしかなかった仕事に対して自分で実際にやってみる、そして身近で色々な仕事を見る機会があるということによってそれまで考えたこととは一変するということも決しておかしなことではありません。
人間関係が上手くいかない
人間関係はどの年代でも共通した悩み。
人間関係がうまくいかないことによるストレスというのはかなり大きなものであり、働く上で致命的な問題にもなることです。
人間関係の悪化は下手したら精神的に追い込む原因にもなります。
仕事ができない
新入社員の頃には横並びであっても、2年以上働けば仕事ができる人と仕事ができない人に分かれていきます。
仕事ができないというのは、上司に怒られる、周囲に馬鹿にされる、評価を下げられ出世競争から外れるなどかなり辛い環境に追い込まれてしまう原因になります。
周囲だけではなく自分自身の中でも大きな悩みを持つ原因になり、それが大きなストレスとなっていきます。
結果的に会社に居場所がなくなってしまい、会社を辞める人は少なくありません。
休日が少ない、残業が多い
仕事に人生の全てを注ぐことができる気持ちを持っている人ではない限り、休日が少なかったり残業が多いというのは大きなストレスとなる原因です。
プライベートの時間を充実させることは人生を楽しいものにする上で必要なことであり、もっと休日が多い仕事がいい、残業が少ない仕事がいいというのはごく自然な考え方でしょう。
休日数や残業時間というのは会社によって大きく変わる部分。その為会社を変えない限りは解決する問題ではないので転職を選択する人が多いです。
評価への不満
3年目になると会社によっては評価を分けられます。
そこで思ったような評価をされていないと感じる人は多いのではないでしょうか。
評価は単純に能力の高さだけで決められることではない為、不満を感じる人は非常に多いと思います。
つく上司によっては全然仕事ができない人が高い評価を貰ってボーナスが高かったり昇格したりすることもありますからね。
会社のシステム上、一度評価を下げられてしまうとそれを逆転することが非常に困難である場合は少なくありません。
一度評価を下げられてしまえば、もうそのことを受け入れて働くことにするか、一旦評価をリセットする為に転職するしかないという場合もあるのです。
入社3年目で仕事を辞める場合の3つの選択肢のメリット、デメリット
さて、もし入社3年目で仕事を辞めて転職するとなった場合にどういった選択肢があるでしょうか。
3つのパターンとそのメリット、デメリットを紹介することにします。
第二新卒として転職する
まず一つ目の選択肢がすぐに転職活動を始めて第二新卒として転職するパターン。
現在は第二新卒としての転職が非常にやりやすくなっており、大手企業も積極的に採用活動を行っていますので、3年以内に辞めてしまうリスクはなくなっています。
第二新卒として転職する場合の大きなメリットは職種変更はしやすいという点です。
同職種への転職が有利になる通常の中途採用に対し、第二新卒はそれまでの職種がどうだったのかという点は重視されない為、未経験職種への転職がしやすくなっています。
ただ、第二新卒として転職する場合は経験を見込んで高い年収を提示するということはほぼなく、年収は良くて現状維持となる場合が多いです。
場合によっては、1年目と同じ扱いになってしまう場合もあり、給料が下がるといった場合もありえます。
もう少し働き経験者採用で応募する
3年目であれば最大でもあと1年働けば第二新卒としてではなく、経験を生かして経験者採用枠で転職することが可能になります。
経験者採用であれば年収アップもしやすいので、転職による職種変更を考えていないのであればこちらを選択したほうがいいかもしれません。
ただし、3年目は我慢しなくてはならないというのが大きなデメリットと捉える人は多いでしょう。
現時点で仕事を辞めたいと考えている人はまだまだ働き続けるというのはかなり辛いことかもしれません。
もう少し働き未経験者採用で応募する
職種を変えるつもりであっても3年働くという選択がないわけではありません。
未経験者であっても3年働いたという実績を評価されることはあり、第二新卒よりもそちらを優先して採用を進めている企業もあります。
ただ職種を変えるという観点でいえば、現在の状況なら第二新卒として転職する場合の方が選択肢は多い為、あえて1年待って未経験者採用に挑むという利点はあまりありません。
3年目で第二新卒として転職する場合の転職事情
ではここからは入社3年目に第二新卒として転職する場合の転職事情について紹介していきたいと思います。
第二新卒の転職需要は増
第二新卒を対象とした求人は非常に増加傾向にあり、就職で抜群の人気があるような大手企業までもが第二新卒の採用人数を増やすと明言しています。
その背景としてあるのが若手人材の不足、短期離職者に対する見直しです。
特に後者は離職率の低い大手企業も積極的に採用人数を鵜やしている理由となっています。
もともと入社3年以内に会社を辞めた人に対するイメージは忍耐力がないといったネガティブな部分が多かったのですが、現在では辞めたという経験が必ずしも忍耐力とは関係ない、違う職種を経験していることなどから魅力的な人材も多く存在しているというように見られるようになってきました。
1,2年目の人との違い
第二新卒として転職する場合、ライバルとなるのは1年目や2年目の人たちです。
企業が第二新卒者に求めているのは、熱意やポテンシャルの高さ、若さ、ビジネスマナーや仕事のやり方が身についていることです。
若さの部分では1年目、2年目には及ばないものの、ビジネスマナーや仕事のやり方という点では勝っている部分があるので第二新卒としては年齢が高いからといって不利になることはあまりありません。
熱意やポテンシャルの高さといった部分をしっかりアピールしていくことが特に重要となってくるでしょう。
第二新卒として2回目の転職
卒業後3年以内に2回目の転職する場合は注意が必要です。
第二新卒として2回も転職することは転職市場においてかなり不利になる要因となります。
さすがにその短期間で2回も辞めるということになってしまうと、忍耐力がない、辞め癖がついていると判断されてしまいます。
だからこそ最初の転職は危機感を持ち全力で行わなくてはなりませんし、万が一2回目の転職を考えているならば会社を辞めずに在職中に行うなどリスクを下げる方法をとることが必要です。
失敗しない転職のやり方
では最後に転職を成功させるやり方について紹介していきましょう。
自己分析、企業研究をしっかり行う
3年目の人に転職活動で最も大切にしてほしいのが自己分析と企業研究をしっかり行うことです。
3年目の転職で最も多いミスが、自分の希望をよくわからずに転職してしまうこと、企業を知名度や年収といった部分だけで判断してしまうことです。
少し社会人としての経験があるという状態は根拠のない自信を持たせ、しっかり調べることを怠らせることになってしまうことに注意してください。
自分のこともよく知らず、転職する企業のこともよく知らないのであれば、転職を成功させることなんてできるはずがありません。
広い視野をもつ
せっかく転職するのですから、限られた視野で物事を考え選択するのではなく、広い視野をもつようにしましょう。
視野が狭ければ狭いほど選択肢は限られ、本来進むべき道に気づくことができなくなってしまいます。
第二新卒ならあらゆる可能性があるわけですから様々な業界、職種、企業規模の会社を調べてみることをおすすめします。
転職エージェントを利用する
第二新卒の転職では熱意やポテンシャルの高さを重視してみられることになりますが、こういった点をどうアピールしていけばいいかわからないという人は多いでしょう。
まあそれはわからなくて当然のことであり、無理に調べたった答えがでてはきません。
下手に自分で何とか答えをだそうとしてしまうと、誤ったやり方をしてしまう可能性があります。
アピールの仕方というのは応募する企業によっても異なってくるので、自分ひとりで行おうとは思わずに転職のプロである転職エージェントを利用するようにしましょう。
ノウハウ等はやはり優れていますし、企業ともつながっている分、情報収集や交渉といったことも代理で行ってくれますから有利に転職活動を進めることができます。