転職活動を行う際に、転職サイトや転職エージェントを利用するのではなくハローワークを利用するという人も多いのではないでしょうか。
各都市に設置されていますし、現在はインターネットでも求人情報を検索することができる為、容易に利用することが可能です。
ただ、利用時にはいくつか注意しておかなくてはならない点もあります。
そこで今回はハローワーク利用時の注意点やホワイト企業、優良企業の探し方について紹介していきます。
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転職活動時に最も使われているのがハローワーク
転職しようと求人を探す場合の方法として、ハローワーク以外にも民間企業が運営している転職サイトや転職エージェントを利用する方法、企業のホームページを利用する方法などがあります。
ただ、現在最も多く使われているのは公共職業安定所、いわゆるハローワークです。
厚生労働省の「転職者実態調査の概況」よると、転職者の募集方法として利用されているのは転職サイトや転職エージェントといった民間の職業紹介機関が17.3%であるのに対し、ハローワークは65.7%と飛びぬけて多くなっています。
求人情報を掲載する際、転職サイト等は有料である一方でハローワークは無料で掲載することができる為、数の多い中小企業はハローワークを利用する場合が多い為です。
応募者においても転職サイト等が18.8%であるのに対しハローワークは41.4%とこちらも多くなっています。
すなわち現在の日本において転職サイトなどよりもハローワークを利用した転職活動が一般的になっていることがわかります。
ハローワークの特徴
求人情報を掲載しているという点では、ハローワークも転職サイトも変わりはありません。
しかし、求人を見たときに双方では違いがあります。
ハローワークのメリット
まずはハローワークのメリットから紹介していきましょう。その他の求人紹介サービスに比べ、ハローワークには以下のメリットがあります。
- 求人数が多い
- 地元の求人が多い
- サポートを行ってくれる
- 採用ハードルが低い
求人件数が多い
上述したように、現在求人を出す際に最も使われているのは転職サイトや転職エージェントではなくハローワークです。
ですから当然求人件数自体は多くなります。
ハローワークの場合は求人を出すのが無料であるのに対し、転職サイトであれば1ヶ月程度で数十以上、転職エージェントであれば採用が決まった場合にその人の年収の2から3割(年収400万円であれば80から120万円)かかることになります。
経営的に余裕がない中小企業にとってこれは大きな負担となる為、無料で掲載できるハローワークを利用する企業が多いです。
地元の求人が多い
各都市のハローワークで探すことができる求人は地元の求人がほとんど。
その為、今住んでいるところから離れたくない、地元で転職したいという人には多くの求人を得ることができます。
インターネットを利用すれば全国の求人も閲覧可能である為、Uターン転職をする場合においても利用することが可能となっています。
サポートを行ってくれる
ハローワークでは単に求人を検索して応募するというだけではなく、職業訓練のあっせんや履歴書、面接対策など転職に関するサポートも受けることが可能となっています。
サポート自体の質、深さでは転職エージェントに及ばないものの、転職エージェントの場合はそれまでの職歴や転職市場の状況などから「紹介できる企業がありません」とサポートを断られてしまう場合がありますが、ハローワークではそれがありません。
採用ハードルが低い
転職サイトや転職エージェント経由で応募した場合に比べ、採用のハードルが低く採用されやすいというのも一つのメリットです。
転職サイトや転職エージェントの求人は大企業が多く、応募する人のレベルが高くなってしまう為、どうしても難易度が高くなってしまいます。
ハローワークのデメリット
次に紹介するのはハローワークのデメリット。その他の求人紹介サービスに比べ、ハローワークには以下のデメリットがあります。
- カラ求人が紛れている
- 求人の質が低くブラック企業が多い
- 求人情報に嘘が書かれている場合もある
- 混んでいる
カラ求人が紛れている
本当は特に採用する気はないのにとりあえず求人だけ出しているカラ求人。
掲載が無料であるハローワークだからこそあるデメリットです。
こういった求人に応募してもどうせ受からないので単に時間と労力を無駄にするだけです。
求人の質が低く、ブラック企業が多い
大企業がほぼなく中小企業がほとんど、無料で掲載することが可能といった点により、転職サイトや転職エージェントに比べて求人の質は低く、条件面でもあまり良い求人は少ないです。
わざわざ有料で求人を出す会社というのは、優秀な人材を集めることに対して積極的で条件面も上げます。
また、無料で掲載できるが故に社員を使い捨てとしか考えていないブラック企業も多いのが特徴。そういった会社はすぐ社員が辞めていくのでわざわざお金をだして求人広告を出しませんし、出そうとしても転職サイトや転職エージェント会社がチェックした際にはねられてしまうので、ハローワークを利用する場合が多いです。
求人情報に嘘が書かれている場合もある
ハローワークを利用して転職活動を行っていた際に、求人情報に書かれていた仕事と実際の仕事が違う、給料が違う、休日数が違うなど求人情報に正しい情報が書かれていなかったという意見を多々見かけます。
まだ面接時に気づくことができればいいのですが、入社してからだと最悪。しかしとにかく人を集めよう、入社してしまえばこっちのもんだと考えている企業も残念ながら存在しているのです。
混んでいる
ハローワークに行ったことがある人ならわかるかもしれませんが、だいたい混んでいて利用しようと思ってもかなり時間がかかってしまいます。
もちろん時間によっても混み具合は違いますが、もし仕事をしながら転職活動を進める場合だと行くことができる時間は限られていますし、行くことが可能な時間はやっぱりどうしても混んでいます。
転職サイトであれば求人検索、応募を自宅で完結できますし、転職エージェントであれば指定された時間に面談に行くだけなので時間はかかりません。
ハローワーク、転職サイト、転職エージェントの使い分け方
ハローワークには上述したようなメリット、デメリットがあります。
こういった特徴から、ハローワークと転職サイト、転職エージェントの使い分け方は以下のように考えてください。
ハローワークを利用すべき人
- とにかく早く仕事に就きたい
- 地元で働きたい
転職サイト、転職エージェントを利用すべき人
- 好条件の転職先を見つけたい
- 全国の求人に応募したい
ただ、どの転職サービスも無料で使うことができますし、転職サイトや転職エージェントにも地方の求人は多数ありますから、とりあえず全て使ってみることをおすすめします。
ハローワークを利用してホワイト企業、優良企業を見つける方法
先ほど述べたように、ハローワークに掲載されている求人は転職サイトや転職エージェントに掲載されている求人に比べてブラック企業が多いというデメリットがあります。
もちろんブラック企業だけではなく、ホワイト企業、優良企業も存在しており、転職活動を進める際には如何に見極めるかということが非常に重要になります。
万が一ブラック企業に入社してしまってすぐ辞めることになった場合、転職回数の増加、短期離職の実績が職歴についてしまうので絶対に避けなくてはなりません。
求人情報は隅から隅まで見る
求人情報は主要部分だけではなく、必ず隅々まで見るようにしてください。
場合によっては備考欄などにとても重要な書き方がされている場合があります。
何か違和感がある部分、気になる部分があれば、ハローワークの職員もしくは面接時にしっかり聞いてみるようにしてください。
基本的にやましい部分がなければあいまいな書き方をする必要はありません。わかりにくい書き方をしているのであれば、そこには何らかのやましいことが隠されていると疑ってかかったほうがいいです。
求人に出している回数を確認する
ブラック企業であればすぐに人が辞めていく為、何度も求人を掲載することになります。
一方でホワイト企業のような離職率の低い企業というのは頻繁に求人を掲載することはありません。
企業の規模が小さいにも関わらず求人に何度も掲載しているような企業は要注意、企業の規模が大きく企業ができた日が古いにも関わらず掲載回数が少ない企業はねらい目です。
求人掲載回数については以下のサイトにて確認することが可能となっています。
入社前に労働条件通知書を確認する
面接が終わり無事内定に至ったら、入社前にしっかり労働条件通知書を確認するようにしてください。
上述したようにハローワークでは実際の条件と求人情報に掲載されている条件が異なる場合があるので、気をつけなくてはなりません。
労働条件の明示は法律上義務付けられていることです。中小企業の場合だと言わなければ出さない会社もありますが、法律上決められていることですから出してもらうように依頼しましょう・
条件の明示は労働基準法において以下のように定められています。
労働基準法第15条
- 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
- 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
- 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
書面で明示しなくてはいけない条件としては、
- 労働契約の期間
- 就業場所、業務内容
- 始業、終業時間、時間外労働の有無、休憩時間、休日、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
- 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
制度がある場合に明示しなくてはいけない条件として、
- 昇給に関する事項
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
- 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
- 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
- 安全・衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- 休職に関する事項
依頼しても出してくれない場合、それだけで労働基準法を守る意思はないと判断される為、内定が出ていたとしても入社は辞めておいたほうが無難です。
みなし残業、固定残業代、裁量労働制には要注意
残業に関して、みなし残業や固定残業代、裁量労働制といった形を取り入れている場合は注意してください。
毎月10時間分の残業代が必ず支払われるといいながら実際の残業時間はそれ以上になり、残りの部分がサービス残業となっているという場合が多々あります。
本来はあらかじめ定められた時間を超えた場合には支払われなければならないのですが、残業代は固定だと言い張り支給してくれない場合が非常に多いです。
試用期間の待遇が悪い、長すぎる企業は避ける
入社時、最初は試用期間を設定している企業は多くそれ自体は問題ないのですが、その試用期間の待遇が異常に低かったり、異常に長い場合には注意が必要です。
特に試用期間の給料が時給制であったり、試用期間が6ヶ月以上あるような場合は怪しいと考えてください。
事前に下見する
ハローワークを利用して転職する場合は地元の企業なわけですから、事前に下見に行くことは可能だと思います。
もちろん中には入ることはできませんが、何時くらいまで残業が行われるか、休日出勤が行われているかということを見極めることは可能なはず。
ですから、下見は必ず行くようにしてください。
面接時や電話での問い合わせにもヒントがある
面談時や電話で問い合わせする際の応対の仕方にも、まともな企業なのかどうかということを判断するヒントは隠されています。
特に面接時の様子から人事、役員、社長と直接会った際にどういった雰囲気でどういった人間かということを知ることが可能。
もしその際に違和感を感じたら入社に関してよく検討するようにしてください。
ホワイト企業は絶対にある
ハローワークはブラック企業ばかりというのは大きな間違い。
割合的には転職サイト等に比べると少ないかもしれませんが、決して絶対数が少ないわけではありません。
私の知り合いの経営者でハローワークで求人を掲載している人にも、残業ゼロで給料もそれなりに良く、社員を大切にしようとしている人をしっています。
そういった企業に出会えるかは運だけではありません。しっかり見極めていきましょう。