パワハラによる退職、転職する場合に知っておきたいこと。嫌な上司からは我慢せずにさっさと逃げよう

職場でのパワハラはあってはいけないこと。時に一人の人生をめちゃくちゃにする可能性だってあることです。

上司という立場であるにも関わらず部下がどう思うかに気付くことができない上司、パワハラを行っていることすら気づいていない人もいます。

パワハラは現実として多数起こっていることであり、悩んでいる人も多いことでしょう。あなたの身に降りかかってしまったとしても特別なことではありません。

ではパワハラにあった時にあなたならどうしますか?社内の窓口に相談したり、違う上司に相談することができればまだしも、ただ我慢することができない人も多く、そして耐え切れずに退職、転職を選択する人もいるかと思います。

その選択は決した間違ったものではありません。ただいくつか注意しておきたいこともあります。

パワハラとは

まずは簡単にパワハラとは何なのか?そこから簡単に紹介していきたいと思います。

実はパワハラの範囲は広く、もしかしたらあなたがこれくらいは社会人なら普通、我慢するしかないといったことも十分パワハラに該当するのかもしれません。

パワハラの定義

パワハラとは、同じ職場で働く物に対して職位などで上の立場の人間が精神的、肉体的苦痛を与える行為。

簡単に言うと上司や先輩が部下や後輩に対して指導の範囲を超えて行き過ぎた行動をとり、暴言を吐くなど精神的苦痛を与えたり、直接殴る蹴るといった肉体的な苦痛を与えることを言います。

パワハラの事例

厚生労働省「パワハラ基本情報」で紹介されているパワハラの事例は以下の6つ。

  • 身体的な攻撃
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • 個の侵害

身体的な攻撃

殴る、蹴るといった直接暴力を働く行為。傷害になるような行為はもちろんですが、軽くこづいたりすることもパワハラにあたる場合があります。

精神的な攻撃

職場内でのパワハラとして最も多いのがこの精神的な攻撃。

聞こえるように悪口を言ったり、ことあるごとに怒鳴ったり、皆がいる場面で怒鳴ったりなんてことがパワハラに当てはまります。

人間関係からの切り離し

一人だけ会議に呼ばれない、送別会に呼ばれないなど職場から特別仲間外れにされるといった行為です。

過大な要求

その人の能力では到底不可能だとわかっているような仕事を与えてできないと叱りつけたり、重たい責任を感じさせ精神帝に追い込むという行為。

例えば新人に対してろくに仕事を教えることなく難しい仕事を押し付けて何も手伝わない、助けないといった行為がこれにあてはまります。

過少な要求

本来やるべき仕事を与えず、誰にでもできる簡単な仕事しか与えないというのもパワハラに該当します。

例えばコピー程度の雑務しか与えずに他の仕事をすることを許さないといった場合などですね。

個の侵害

仕事とは関係ないプライベートのことについてしつこく聞くこともパワハラに該当する場合があります。

結婚しないのか、彼氏彼女はいないのかなどの質問もあまりしつこくするとパワハラになってしまうかもしれません。

パワハラの現実

このようなパワハラですが、どれだけ頻繁に行われていると思いますか?

厚生労働省の調査結果によると、パワハラを受けたことがあるという人は25.3%。およそ4人に1人もいます。

しかしその一方でパワハラをしたと感じたり、パワハラをしたと指摘されたことがあるという人はたったの7.3%。

知らず知らずにパワハラをしている人が非常に多いです。

特に多いのが精神的な攻撃。その次に過大な要求、人間関係からの切り離しというように続いていきます。

ではパワハラを受けた時、どういった行動に移すのでしょうか。実際の行動の上位は以下の通りになっています。

  1. 何もしなかった・・・46.7%
  2. 社内の同僚に相談した・・・14.6%
  3. 社内の上司に相談した・・・13.6%
  4. 会社を退職した・・・13.5%
  5. しばらく会社を休んだ・・・5.4%

約半数は何もできずにただ耐えるだけ。しかし1割以上の人は会社を退職してしまっています。

そして残念なことに20人に1人は会社を休むことになってしまっています。

パワハラによって精神的に追い込まれ、うつ病などにかかってしまう人も実際少なくはないのです。

参考:職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書

パワハラを受けた時にすべきこと

パワハラを受けた時にすべきこと

ではもしあなたが職場で上司や先輩からパワハラを受けてしまった時、何をすればいいのでしょうか。

我慢し続けてはだめ

先ほど紹介したデータによれば、およそ半数の人は何もしなかったと回答しています。

確かに中々何かをするということは大変ですし、どうすれば解決できるのかということもわからないのでただ我慢せざるを得ないという人もおおいのでしょう。

しかしその我慢の結果、精神的に追い込まれて休職せざるを得なくなる人がいることを忘れてはいけません。先ほども紹介したように20人に1人以上の人はパワハラによって会社を休んでいます。

最初は自分は大丈夫、時間が解決してくれるから我慢すればいいなんて思っていても、感じるストレスは想像以上に大きいので甘く考えないようにしてください。

会社内での対処法

ではもしパワハラを受けてしまった場合、それを改善する為にはどういった行動をとることができるでしょうか。

基本的な対処法としては以下の3つ。

  • パワハラに理解のある他の上司に相談
  • 同僚に相談し味方をつくってパワハラをしてくる人に対抗する
  • 社内の相談窓口を利用する

中々これらの対処法で解決するのは難しいかもしれません。ただ我慢して耐えるくらいならやってみるべき。

特に社内に相談窓口がある場合はぜひ利用してみてください。相談しても意味がないのではないか、自分が言ったことがばれてしまうのではないかと心配して利用に踏み切れない人も多いと思いますが、改善される可能性はゼロではありませんしたいていは匿名で利用可能です。

私の知人で直属の上司からパワハラにあっていた人もその窓口に相談したところ、その部のトップにその話が入り実態を確認、結果的にパワハラを行っていた上司が他社に転籍となったなんて話もあります。

パワハラは時に企業の評判を地に落としてしまう可能性があるもの。その為、大手企業を中心に多くの企業でパワハラに対して敏感になりしっかり対策を講じようとしてくれる場合も多いので、その制度があるならまずは活用することを考えてください。

退職、転職

場合によっては退職、そして転職することおやむを得ない場合があるでしょう。

誰に相談したってどうしようもない、社内窓口に相談しても解決に至らなかったり、中小企業であればそういった窓口がない場合も多いです。

特にパワハラをしてくる相手が会社内で力のある人間の場合は誰も解決に協力してくれないことが多くなってしまいます。

実際パワハラを受けた人の1割が転職を選択しています。結局それしか解決方法がないこともあるのです。

もしそうなっても決して悲観的になる必要はありません。それによって退職するのはあなたが弱いせいではないし、決して恥ずかしいことではありません。

とは言えただ辞めてしまうとパワハラの被害者であるにも関わらず色々と損してしまうことが多い為、何点か注意しなくてはなりません。

パワハラが原因での退職時に知っておきたいこと

パワハラが原因での退職時に知っておきたいこと

ではまずはパワハラによって退職する場合の注意点について紹介していきましょう。

パワハラが原因での退職は会社都合にする

もしあなたが退職しようとしているならば、その退職は自己都合による退職ではなく会社都合の退職にすることも可能な場合があります。

どうせ退職するなら会社都合のほうが何かと得。失業保険は3か月の待機期間が必要なくなるし、退職金を貰える金額も増えます。

退職金に関しては自己都合と会社都合では大きく異なってくる場合がほとんど。

例えば会社都合時の退職金が300万円としても、自己都合の退職ではその2割から3割程度しか支給されないと規定されている場合が多く、会社都合と自己都合では数百万円の差がつくのは珍しいことではありません。

必ず証拠となるものを保管しておく

ただ会社側にパワハラによる退職だと主張しても、それを認めて会社都合の退職とするのは不都合が多いです。

退職金を多く支払わなくてはならないというのもありますが、パワハラがあったという事実で世間的な評判が悪くなってしまうことを避けたがります。

結果的に労働者側がいくら主張しても認めてはくれない場合が多く、それでもなんとか会社都合と認めさせようとすれば訴訟を起こしていくことが必要となるでしょう。

そこで必要になるのは証拠。実際にどういったパワハラが行われたのか、メールの文面をコピーしていたり上司からの暴言を録音しておけば、それが実際にパワハラが行われていることの裏付けになり、あれば何かと有利に進めることができます。

また会社側が認めず離職表上は自己都合による退職となっている場合でも、この証拠を元にハローワークに相談すれば、特定理由離職者扱いとして会社都合の退職時と同じ扱いをしてくれます。

転職するにあたり

転職するにあたり

パワハラのように、自分が望んでいない形で退職を余儀なくされるというのは喜ばしいことではないかもしれません。

ただいつまでもそのことを引きずっていてはダメ。前を向きましょう。

転職して成功を収めることがきっと辛かった経験を打ち消してくれるはずです。

転職は逃げではない

パワハラで転職することに関して、根性なしだとか、当たり前のこともできないだとか思ってはだめ。悪いのはパワハラをする上司であり、あなたではありません。

にも関わらず自分を責めてしまったり、我慢することを選んでしまっていてはその上司の思うつぼ。

無理なものは無理だと割り切り、転職するという選択肢を持ちことも必要なことです。

そしてそれは逃げではありません。

現在の日本の会社ではなぜか転職することがあまり良くないことという認識がありますが、その認識によって得をするのは企業側のみ。

現在の非常に転職がしやすい状況において、転職することは逃げなんかではなくむしろ前進です。

退職理由について

パワハラを理由に転職する場合に注意してほしいのが、転職活動時に退職理由を問われた際に絶対にパワハラを理由にしないということ。

それを理由にしてしまうとあまり印象が良くありません。

パワハラというのはかなり個人的な主観によるもので、中には少し怒られた程度でもそれをパワハラだと言い退職してしまう人もいます。

もしかしたらストレス耐性が低いだけで、採用してもすぐ辞めてしまうのではないかという疑念が残りますし、その際にパワハラだと主張されて面倒なことになるのも避けたいというのが会社側の本音です。

転職活動では何事も正直にではだめです。ネガティブなことが原因でもポジティブな人間を演じる必要があります。

会社選び

転職する際、次の会社はパワハラが起きない会社にと思うのは当然。しかしどんな会社であっても100%起きないとは言えません。

ただパワハラが起きる可能性は会社によって大きく違うし、万が一起きた場合の対処のしやすさも会社によって違います。

パワハラが起こりやすく、かつ深刻化しやすいのは以下の特徴を持った会社。

  • 上司と部下のコミュニケーションが少ない
  • 残業が多い、休みが少ない
  • 社内窓口や教育の実施などが行われていない

次の会社を選ぶ際には、労働環境が悪くなく会社としてパワハラ対策を行ってくれている会社を選ぶのが良いと思います。

思い切った決断が今後の人生を豊かにする

理想を言えば、パワハラなんて受けずに今いる会社で楽しく働くことができること。パワハラを理由に退職する羽目になるなんて誰だって望んではいないはずです。

ただ今現実としてそれが起きてしまっていいるのであれば、それはそれで受け止めなくてはなりません。

きっと今の状況から抜け出せる日がくるはず。その日に向けて、思い切った決断と行動をしていきましょう。